ライフルスコープ

ちょっと感動した機材ネタです.

超望遠飛翔(写真)撮影の照準器と言えばドットサイト(LEDの小さな光を透明なスクリーンに反射させて照準にするもの)というのが常識(少なくともネットショップでは)ですが,低倍率広視野タイプのライフルスコープはドットサイトよりも遥かに両眼視撮影(右目でカメラファインダー,左目で照準器を同時に見ながら撮影)に向いているようです.ライフルスコープは長くて重いことが欠点ですが,むしろ長いことが両眼視を快適にさせます.

私が入手したライフルスコープはNikko StirlingのDiamond 30mm 1-4×24 WA Illuminated (型番 NDSI1424)です.製造終了の新品をeBayで見つけましたが(今日現在まだ少し残っているようですの欲しい人はお早めに),私が今まで購入したことがある小型ドットサイトの類いより遥かに安いです.製造元は東京スコープのようです.Hobby’s Worldで販売しているドットサイトも東京スコープが作っているようですね.東京スコープの新型ライフルスコープ EPOCH ONEはNDSI1424より更に広視野(広角端の1倍時の実視界が100m先で約41m,角度で約23度)のようですがいつ販売されるのか分かりません.ちなみにNDSI1424の広角端(1倍より少し大きい)の実視界は約20度(35mm判換算約120mmの対角画角)でした.このスコープは見えが非常に素晴らしいのですが,唯一物足りなく感じた点は射出瞳径が単純計算(対物レンズ口径÷倍率で計算すると20mmぐらい)の半分ほどしかなかったことです.

ドットサイト(特にオープンタイプ)は手軽さから言えば確かに最高です.しかし,両眼視撮影の際に使いづらいと感じることもあり,それを箇条書きにしてみます.

  1. 左右の目のピント位置が異なるので両方の像を同時にシャープに見るのはほとんど不可能.
  2. 左右の目で見える像の位置も一般にずれてしまうため,最初に照準器をよく見てから次にファインダーに目の意識を移すとピントと同時に視線も変える必要がある.
  3. 長いレンズや太いレンズを使うと左目の視界が遮られ,カメラファインダーで見えている範囲全体を余裕を持って左目で見ることが出来ない(特に太いレンズの場合は両眼視自体ほとんど不可能).
いずれも近距離で高速の被写体を狙う場合は大きな問題になり,ドットサイト使用での両眼視撮影を難しくしています.しかし,これらのドットサイトの欠点はすべて低倍率広視野タイプのライフルスコープが解決してしまうのです.

まず,1番目のピントの問題は,スコープなら当然解決ですね.低倍率ならほぼパンフォーカスで,スコープの視野内は近距離から遠距離まで同時にシャープに見えています.

2番目が解決出来るのはちょっと意外でした.一眼レフ等のように撮影レンズの光軸の位置と照準器の光軸の位置が斜め方向(横位置撮影の場合)にずれていると,左右の目で見える像の位置も肉眼で見るのとは異なりずれて見えるのは当然です.ドットサイトのドットの調整は視界は変えずにドットの位置だけをずらしますから左右の像の見え方はそのままですが,ライフルスコープのレティクルの調整は視界全体(光軸自体)を上下左右にずらすことが出来るのです.このお陰でドットサイトに比べると左右の目で見える像の位置ずれが非常に小さくなり,更に無意識の脳内調整まで加味されて,左右の像の位置をぴったり一致させることが出来ます.

3番目は期待を遥かに越える快適さで解決出来ます.フードを含めて全長35cmぐらいの細めのレンズ(サンヨンやヨンゴーロクのクラス)なら左目の視野に撮影レンズが全く入りません.ドットサイト使用なら死角になって見えない右側まですっきり綺麗に視界が広がって見えます.ヨンニッパでさえフードなしなら左目の視野右下に僅かにレンズ先端が入り込むだけで,ファインダーの視野の遥か右側まで見えています.ヨンニッパにテレコンをつけても視界のケラレは僅かに増えるだけですが,フードをつけると視野は半分になります.ゴーヨン単体ではヨンニッパ+テレコンと同程度のケラレがあるもののケラレが全くなく,気持ちよい視界が広がっています.ゴーヨンにテレコンをつけるとケラレが更に増えます生じますが,それでもファインダーの視界の右側まで良く見えています.ライフルスコープなしならヨンニッパでの横位置アイレベル撮影では両眼視は全く不可能でしたから夢のような快適さです.まるで左目だけ30cm前に飛び出たような視界と言えば分かりやすいでしょうか(^o^). 更に上の2番目の解決もあって,ヨンニッパ使用の最短撮影距離でさえファインダーの中央AFフレームにライフルコープのレティクルの中央がピタッと一致して見えるのは感動しました.

ライフルスコープの取り付けはまだ仮組み状態ですが,横位置撮影と縦位置撮影が自由に切り替えられるように出来そうなので,必要な部品が入手出来ましたらまた改めて画像をつけて紹介します.

ところで,撮影で使用する照準器はもともと射撃で利用していたものを流用しているわけですが,射撃の世界ではドットサイトよりもライフルスコープの方が一般的かもしれません.ライフルスコープを撮影で使用している人も少しいるようですが(ネット上ではフロントテレコンのエキスパート「じいちゃん」さんが有名ですね),とても普及しているという状態ではありません.ほとんどのライフルスコープは実視界が非常に狭く,長くて重いというのがたぶん理由だと思います.私も今までドットサイトを調べる際にライフルスコープも時々チェックしていましたが,やはり実視界の狭さがネックで試してみようとは全く考えたこともありませんでした.そのため,太いレンズで快適に横位置撮影するにはウエストレベルに構えるアングルファインダー(自作の双眼アングルファインダー)を使うよりほかにないと今まで考えていましたが,今回の発見でアイレベル撮影でもようやく道が開けたことになります.


追記:ライフルスコープの取り付け法については次の記事を参考にしてみて下さい.

  1. その1:初期型(レンズの三脚座を上にして使用する場合限定),ライフルスコープを使って両眼視する際の視野
  2. その2:改良型,三脚対応
  3. その3:小型レンズ手持ち撮影用(金属部品多用)
  4. その4:3Dプリントで作成した手持ち撮影用軽量型
ライフルスコープはドットサイトより一般に大きくて重いだけでなく,アイポイントの位置もしっかり合わせる必要がありますから,取り付け法については安定性と位置調整に十分配慮しなければなりません.これはドットサイトでは決して得られない快適さを手に入れるための代償のようなものですね.

追記その2:この記事を読んだ後でも,それでもやはり,手軽さに勝るドットサイトの方が良いと考えてる方々も少なからずいらっしゃると思います.そんな方々のために,ドットサイト使用時に両眼視撮影を難しくする問題点として上で取り上げた3つのうち,2番目と3番目については工夫次第では解決出来る可能性があることを付け加えておきます.その方法は,2枚の鏡を使う合わせ鏡の仕組みを利用した潜望鏡のような補助光学系をドットサイトの前方(被写体側)か後方(手前側)に設置することです.潜望鏡の形ですから,ドットサイトの光軸を撮影レンズから離せるので視界が撮影レンズによってケラレることが少なくなります.また,合わせ鏡は,片方の鏡の傾斜を2軸調整することで映る像の位置を上下左右に移動させることが出来るので,両眼視撮影の際に左右の目で見える像の位置のずれを調整できます.なお,2枚の鏡の代わりに2個の直角プリズムを組み合わせることでも作れますが,いずれにしても,微妙な傾斜調整が出来るようにすることが大切です.実際に使用するには反射面の曇り対策などもあって,自作は意外に大変かもしれません.この手のアクセサリーはメーカーさんに取っては非常に簡単に作れるでしょうから,既にドットサイトを販売しているカメラメーカーなどにユーザーの声が届けば,安価で販売される可能性が高いかもしれませんね.

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