快適な両眼視撮影のための照準器の調整手順

最近,両眼視撮影やライフルスコープ関連で検索して当サイトを訪問して下さる方が非常に多いので,快適な両眼視撮影のための照準器の調整手順について簡単にまとめておきます.ただし,よく普及している手軽なドットサイトを通常のカメラファインダーに並列して使用している場合は,この方法は使えませんので悪しからず(追記その2参照).しかし,ドットサイト使用でも,上下左右に自由に向きを変えられる外付けEVFをファインダーにして撮影している場合(動画撮影やミラーレス機)は,同じ方法で調整出来ます.

[1] 両眼視撮影の第一歩は,もちろん,ファインダーと照準器を同時に覗ける位置に設置することです.アイポイントが重要なライフルスコープでは,以下の調整の途中でもこのための微調整が随時必要になります.

両眼視撮影を快適にするために重量なことは,左右の目の視野の中心位置(画面中央に捉えたい被写体が見える位置)を揃えることです.もちろん,カメレオンのように左右の目を独立に動かせる人はこの限りではありません.それ以外のほとんどの人にとっては,左右の目の視野の中心位置がずれ過ぎていると,目の意識を照準器からファインダーに切り替える時に視線の移動が大きくなってしまい,飛翔撮影の際に色々なミスを犯し易いのが理由です.このステップでやるべきことを少し詳しく書きます.

[2] 適当な距離(撮影頻度が高い距離,又は,ミスしたくない距離)にある適当な標的をファインダーの中央に捉えてカメラの向きを固定します.ファインダーと照準器を両目で(左右の目の意識を均等にして)覗くと,標的の位置が左右でずれて見えるはずです.場合によっては位置のずれが大き過ぎて,照準器側の視野に標的が見えないかもしれませんから,その場合は照準器の向き(自由に動く外付けEVF使用の場合はEVF向きも)を調整して標的が見易い位置に来るようにします.以下で,左右の目で見える標的の位置のずれがなくなるように調整していきますが,使用機材によってやり方が異なります.

[2A] ファインダーの向きを変えられない(ほとんどの写真用)カメラの場合は,光軸(視野)の向きを調整出来るライフルスコープ(又は光軸の傾斜を調整出来る照準器)を使用することが必要です.ライフルスコープには照準(レティクル)の位置を調整するためのノブがついていますが,この調整で実際に行なっていることは,ライフルスコープの光軸(内部にあるイレクターチューブ,像を正立化させるための光学系,リレーレンズ)を上下左右に傾けて視野そのものを移動させることなのです.従って,この調整ノブを回して,ライフルスコープを通して見える標的(照準ではありません)がファインダー中央に捉えてある標的に重なって見えるように揃えることが可能になります.ライフルスコープの機種によっては調整幅が不十分な場合もあるかもしれませんが,左右の位置が大体揃っていれば,脳内調整(両目の寄り目具合)で左右の目で見える像を重ねられると思います.

[2B] 向きが自由に変えられる外付けEVFを使っている場合は,EVFの向きを調整してEVFの中央に捉えてある標的が照準器を通して見える標的の位置に重なるようにします.こちらの方がライフルスコープの調整より素早く簡単に出来ます.更に,EVFを左右に傾けることで,左右の目で見える水平線(又は人工物等の直線)を平行に揃えることが出来ますから,一層快適になります.

[3] 最後に,照準器の向きを調整して照準の位置を標的に合わせます.これで,左右の目でそれぞれ見える標的と照準の3つすべてが同じ位置に揃って見えます.ドットサイトの場合,必要ならドット位置の微調整もしますが,大抵の場合はドットサイト自体の向きを変えるだけで十分だと思います.ちなみに,私がドットサイトを使っていた最後の頃は,ドットの位置は常にスクリーンの中心に合わせておいて,ドットサイト自体の向きを変えるだけで照準調整していました.

上の調整手順でも分かるように,この調整が出来るためには照準器自体の向きの調整も簡単に出来るようになっていることが必要ですから,そのように照準器マウントをご用意下さい.

調整手順[2B]で書いた,左右の目で見える水平線(又は人工物等の直線)を平行に揃える調整は,ファインダーを動かせないカメラでは一般に出来ません.これは,視界(像)を自由に回転出来る市販の照準器がないためです.ただし,そのような調整が出来る照準器を自作することは可能です.例えば,ポロI型プリズム(2個の直角プリズム)を接合面で0〜90度回転させると,像は0〜180度回転しますから,これに光軸の傾斜調整をするためのチルト機構(ライフルスコープ類似)又はプリズム(シュミットプリズムとペシャンプリズムを接合面で回転)を組み合わせると,光軸傾斜と像回転を自由に調整出来る光学系になります.更に,対物レンズと接眼レンズで倍率・実視界・アイレリーフを調整して,焦点面に照準を設置すれば完成です.デジタル機器で作る方がシンプルですが,見やすい高解像EVFが必要ですから高価になります.現在使用中のライフルスコープに飽き足らなくなったら,このような照準器を自作するかもしれません.

言うまでもないかもしれませんが,撮影距離が大きく変化すると照準の位置もずれます.従って,照準器の調整は撮影頻度が高い距離(又は絶対ミスをしたくない撮影距離)で行ないます.ただし,両眼視撮影に慣れると,距離によって照準がどのようにずれるのかは自然に覚えますから,あまり神経質になる必要はありません.

余談になりますが,距離によって照準器の照準がずれるのは,撮影レンズの光軸と照準器の光軸が異なっている限り必ず発生します.視差の一種ですね.カメラメーカーなら,カメラ側で把握出来る距離情報に応じて照準器の向きを自動調整する機能を搭載したカメラを作ることは技術的には簡単なはずです.陳腐なドットサイトを発売してしまった某カメラメーカーが,そのうち気が向いたら作ってくれるかもしれませんね.また,撮影用としては少し疑問が残りますが,光学的には,撮影レンズのにハーフミラーを組み込んで照準用低倍率像を引き出すことは十分可能ですから,そのような照準機能付き撮影レンズなら視差は発生しません.素人でも自作照準器を作れる人なら,照準がずれる方向に沿ってライン状に照準を入れておくことで,かなり使い勝手が良いものが出来ると思います.射撃用照準器でも距離による着弾位置のずれを示した照準がついているものがありますから,その撮影用照準器版ですね.もちろん,そのような射撃用照準器を傾けて(光軸のまわりに回転させて)使うことでも撮影用に対応出来ます.私の場合,ローアングル飛翔写真撮影や動画撮影で使用している自作の傾斜型照準器にそのような照準を入れることは全く難しくないのですが,照準器でも水平確認をしている都合上,更に斜めのライン(使用カメラごとに傾斜が異なる)を入れると目障りですし,また,事前にずれる方向を確認しておけばわざわざラインを入れるまでもないと思っています.

追記(2016/01/18):調整手順を少し分かりやすく書き換えました.

追記その2(2017/01/12):ドットサイト使用時でも補助光学系を追加するとライフルスコープのような視野調整(左右の目で見える像の位置ずれ調整)が可能になることに気がつきました.詳しくはライフルスコープ紹介記事の追記その2をご覧下さい.

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